プロデュース
病気で一年近くプールを休んでいた女性が、やっと数日置きに顔を出すようになった。
駐車場で彼女の車を見つけた日、フロントまでの階段を走った。ロッカールームで彼女を見つけた瞬間「お帰りなさい」と口をついて出た。
「ママ~!」年下の私を彼女はそう呼ぶ。泣きそうな笑顔だった。
私が入会したての頃、或る先輩会員さんから大人気ないイジメに遭って落ち込んでいた私に「私もおんなじ目に遭ったわよ。他の方も・・・。気にしないって態度を取るの。そのうちに諦めちゃうから・・・」。
そう言って元気付けてくれたのが、彼女だった。本当にその通りだった。
彼女も大変な病気を抱えていたので、悪化が原因だろうと思ってはいたが、想像を絶する痛みに、ご主人が出かけて一人になった家の中で、大声をあげて泣いたそうだ。
こうして、また体調維持のために来れるようになったことが、嬉しくてたまらない様子。それでも痩せた背中や腕、太ももにはたくさんの治療痕が見えて痛々しい。
今も痛みと戦いながら、時にはなだめ、時には挑み、試行錯誤の毎日だと言う。
お薬との相性が良かったらしい・・・と一時はゴルフも愉しんでいたのに。
ところが特効薬は両刃の剣でもあった・・・。
この一年ほどの時間を彼女は一体どう過ごしてきたのか・・・。
逃れられない痛みと向き合い、苛立つ自分を見つめ、彼女は自分を取り戻すことに全力を注いだ。
程度の差はあるが、かつて、私も似た経験をした。
今の状態がいつまで続くのかは私自身でさえ分からない。
それでも「今日」を生き、「明日」を迎えられれば「明後日」が見えてくる。専門家の知恵を借り、自分なりの経験値を頼りに歩幅を微調整しながら、一日、また一日と、できるだけ前を見つめて生きていこう・・・。
そんな風に自分をプロデュースして生きてきた。
幸い、今のところ「大ドンデンガエシ」に遭遇することなく、目下の敵は、お気楽で、なかなかしぶとい「余分三兄弟」くらいだ。
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