エゴなエコ
最近、駅の構内などからことごとくゴミ箱が消えてしまった。毎日行くスーパーからもゴミ箱が消えた。
メモを片手に買い物をした。要らなくなったメモを棄てるつもりで掌でくしゃくしゃにしてしまってからゴミ箱を探すが・・・・・どこにもない。ついこの間までレジ脇の包装台の下にあったはずなのに・・・・・。
店内を見渡すと、レジ台の高い位置にちいさな篭があり「要らないレシートはここにお入れください」と書いてあった。
ゴミ箱らしきものはそれだけだった。丸めたメモを広げてお財布に仕舞った。
数日後、店内に張り紙が出た。
「一部のお客さまが食品トレーのみを棄てていかれます。衛生上好ましくありませんので、店内からゴミ箱を撤去させていただきました」。
ああ、あれか・・・。うんざりな溜息が漏れる。幾人かの非常識な人々のために多くの人々が不便を強いられる時代になってしまった。
お肉もお魚も、大抵発砲トレーに入っているが、それらを全てビニール袋に移して、ゴミになるものは全部スーパーのゴミ箱に棄てていく客がいるのだ。
お刺身の盛り合わせを「ザラッ!」と袋に移して、トレーを棄てている場面を見たことがある。驚いて見ていると、更にバッグからちいさなナイフを取り出し、パイナップルの葉の部分を切り落とした。つまり買ったもののゴミ部分を全部棄てていたのだ。ゴミ箱はあっという間に溢れ、辺りに甘酸っぱい香りを漂わせてその人は平然と帰っていった。現代のいちばん汚い物を見せられた思いがした。
この不敵な行いを衆目の中で、なんのてらいもなくやってのけたその人は、ごく普通の主婦に見えた。家で出る最低限の家庭ゴミもどうせ何処かのゴミ箱に棄てているに違いなかろう。
恐らく自分ひとりがよければ、それで何の疑問も持たない人種なのだ・・・。その人にも家族があり、こどもも育てているのだろうに・・・。
世も末だと思ったが、後日、もっと驚いたのは、偶然観たテレビ番組。
「エコ」をテーマに、或る主婦にスポットを当て、家庭でできるいろんな取り組みを紹介していたが、なんと「究極のエコ」みたいな前置きで、買ったもののトレーをスーパーで棄てているところを紹介したのだ。
「これって、エコ?」。
言葉の意味すらわかっていない。これは「エゴ」ですよ。
こんな番組作るって、一体どういう常識の持ち主?これでまたこの番組観たエゴ人間がグングン増殖を始めて、きっとそのうちにこの国はとてつもないエゴ大国になってしまうんだ。
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