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2009年3月22日 (日)

一心不乱

お客さまはそう大した人数ではなかったのだが、大学関係の年配の女性が「わあぁ、これ、美味しそう!」と言ってオーダーされた。

四人のお客さまが二組。
いつものお昼時に比べれば、ずっと楽な人数である。

ところが、何かの歯車が咬み合わない日・・・・というのがあるようで、何故か材料が中途半端だったりする。
受けた以上は何とかきちんと仕上げてお出しするのが仕事だが、どれもこれも巧く行かない。まるで、誰かが故意に意地悪をしているみたいな・・・。
新鮮なお魚の煮付けは、大鍋の蓋を開けてみると、なんと、ガスが途中で消えてしまっているではないか!
夫は、二組目のオーダーをきちんと伝えないまま、何処かへ消えてしまった。
とうとう、サラダと、数品のお皿だけが出来上がったところで日が暮れ始めた。
女性のお客さまは「忙しいから」と帰り支度を始めた。

こんなに頑張っているのに、何故か見事に空回り・・・。
ガスは依然、思うような炎を上げようとしない。お隣を覘くと何故か芸者さんを挙げて庭で楽しげに餅つきをやっている。
妙に虚しく冷蔵庫を開けると、入れておいた食材が全部凍りついてしまっている・・・。情けないやら、申し訳ないやら、悔しいやら。

その時、鶯が鳴き始めた。
「ほ~ほけ・・きょろろ・けきよろろろけきょきょ・・きょきょ・・・ほ~ほけっ!」正しい鳴き方は知らないらしいが、めげずに鳴いている。
「くっくっく・・・」と笑って目が覚めた。
恐らく、披露宴で出された細やかなお料理の数々に刺激された夢だったかも知れないが、未だ幼い鶯くんが朝の目覚めを心地よいものに変えてくれた。
少し疲れてはいるが、本当に和やかで楽しい結婚式だった。

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2009年3月21日 (土)

境界線

お天気が気になる中、実家に彼岸参りに出掛けた。

祭日とあって、朝の慌しさはなく、それぞれが日常を離れたふわりとした空気の中でそれぞれの駅で降りてゆく。私もよい気分で電車を降りた。

ところが、なんと帰りの電車で、隣に座った女性は「白昼堂々と」念入りな化粧を始めた。
若い女性ではなかった。恐らく公衆の面前で化粧する女性の出現の「走り」くらいの年齢かと思った。

かなり苛つきながら視線を投げかけてみても、もとより気にする神経を持ち合わせているとは到底思えなかった。
私の正面に座ったおばさまも非難の視線を送っていたが、反応なし。
不敵・・・というよりも、まるで周りの数十人の視線を全く感じていない自然さなのだ。

やっと、化粧道具を仕舞ったと思えば、今度は入念なマッサージだ・・・。こめかみあたりから始まって、顎関節あたり、首筋へ・・・、多分リンパマッサージ。
最後は、頬っぺたの筋肉を収縮させたり、弛緩させたり・・・。

・・・・まるで、自宅のパウダールームである。
そこに、一切の視線も届かないから相当手強い。

以前、お店で食事中の学生さんからとても興味深い話を聞いたことがある。

「常識」と「非常識」の境界は全体の14パーセントなのだと・・・。
百人中14人以下なら非常識。それ以上なら「常識」になるというのだ。

今ならまだ間に合うかも知れない。
車内広告でアピールするとか、それが無理なら何か他の方法でアピールしていくことはできないものなのか・・・。
「床に座らないでください」シールがあるのだから車内での化粧を戒めるものがあってもよいと思うのだが・・・ま、地に落ちた感は否めないが・・・。

そういえば去年の暮れ、空港まで乗った電車には、化粧が済んだら、とうとう靴下まで履いて降りていった女性がいたなぁ・・・。許されるなら縛り首だ・・・・。
男性の髭剃りは見かけないところを見れば、一体この国の女性はどうなってしまったのだろうか・・・。

どうしても、この行為を常識にしてしまってはいけない。
厳しい言い方かも知れないが、家庭で躾を受けていないなら、社会で他人から厳しい躾を受けなければ仕方がないのでは・・と常々感じている。
人は恥ずかしい思いを重ねながら大人になっていくものだと思っている。

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2009年3月19日 (木)

勝手ながら・・・

いよいよ明後日、タケちゃんの結婚式。

三日ほど前から「今度の土曜日、開いてますか?」の問い合わせが多かった。
遠くにいる昔のお客様たちが訪ねやすい連休だったからだ。

予め電話で問い合わせてくれた人には丁寧なお詫びができたが、きっと当日はいろんな方が訪ねてくれるのだろう。

そのうちの何人かには、おそらく披露宴会場で顔をあわせることになるはずだが・・・。

その昔、今は引き篭っているデイトレーダーさんが、エッチラ訪ねてくれたことがあったそうだが「勝手ながら本日は都合により休ませていただきます」。
・・・・・「本当に勝手だな!」とクレームがつきました。

今回も、遠くから訪ねてくださったご一家は、お店が開いている時間に合わせるため、空港から直で大きな荷物のままで会いに来てくださいました。
う、うう、うっ・・。嬉しいよね。

しかも、お母様と一緒にご挨拶に来てくれてた新郎新婦とお店で鉢合わせ。
紹介は初対面にも拘らず「タケちゃん」。
「あ~~、明後日結婚される・・・」。
タケちゃんは、うちのお客さまの中では結構な有名人です。

「招待状に『この日、○○○は休みです』・・・って書くの忘れました。きっと、昼飯難民が大勢ウロウロしますよ」と言って帰っていった。

皆様、勝手ながら明後日はかわいい「息子」のため、休ませていただきます。

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2009年3月16日 (月)

高~砂っや~!

今週末はタケちゃんの結婚式だ。

夫は予定通り床屋さんに行って、すっきりして帰ってきた。

そこで問題なのは、この私。

な~んも、する気になれない。美容院にも行かなかった。当日のセットや着付けの予約もしないままで・・・多分、洋服にしてしまうんだろうな・・・。
当日何を着て行こうかさえ、決めきれずにいる。眼科でコンタクトの相談もしたかったのに・・・。

どうして、肝心な時にいつもこうなんだろうか・・・。
しかも、来週は九州大学の卒業式と私の定期診察日。
超ハードな日々が待っている。

あぁ~!したたかな(書きの種さんが作り上げた)イメージとちょっとかけ離れたエキセントリックな自分をどうにも制御できないことがある。

庭は春を感じて、一日ごとに雑草が伸び始める。庭の椿やスモモの花めがけて飛んでくる小鳥たちを眺めていて、とっくに気がついてはいたが、草取りする元気はなかった。一週間の始まりを爽やかな顔で迎えたいのに、何もかもを先送りにしてしまうせいで、酷い自己嫌悪だけに支配されてしまう私。

かわいい息子みたいな存在の青年の門出の日をとても楽しみにしている反面、晴れやかな場所が苦手な私が強固に自己主張してくる。

この数日で自分をどこまで引っ張ってゆけるか・・・。

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2009年3月13日 (金)

失敗は成功の母なり!

あんまりお店が忙しいとストレスが溜まるので、少しでも時間ができると、何となくお菓子を作ってしまう。・・・結果、いつもジタバタする羽目になるが、いいストレス解消にもなる。

最近ではオリジナルの新作に興味が尽きない。
つい先日も和菓子の新作に挑んだ・・・とは言っても、頭の中にある漠然としたイメージだけが頼り。
若干の経験と、怖いもの知らずの強味で、イケイケのノリだった。
いつもの調子で作り始めて、或る材料が少し足りないかも・・・という不安がよぎったが、生来のいい加減さでやってのけた。

丁度、書き種さんもご来店で、上手くいけば三人で楽しいティータイム・・・になるはずだった。
タイマーが鳴り、若干・・不安の中、蒸し器の蓋を開けた・・・・変な物体が二本横たわっている。瞬間、パクッと蓋を閉じてしまった。

深呼吸してもう一度蓋を開けてみて気を取り直し、その物体を冷ますため皿に移した。瞬間をキャッチしたふたりの視線が背中に痛い。
夫は「お、蒸しナマコか・・・」。あんなもの、わざわざ蒸し上げてみるほど酔狂じゃない!
流石の書き種さんも「お、俺、なんか見てはいけないもの、見た気がする・・・」。

ふたりして「まさか俺たちに食わすつもりじゃないだろ~な~?」オーラがバンバン出てる。

「ま、今日のところは勘弁しとっちゃろ・・・」とか、言ってしまう。情けない。

涙を呑んで、負けシェフ。「・・・目ぇ瞑って食べればいい線いってるのになぁ・・」。
失敗は成功の母なり・・・多分。

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2009年3月12日 (木)

バービーちゃんは50歳?!

その人は、或る日唐突に現れた。

超ハイレグ水着を臆することなく着こなし、プールサイドで入念なストレッチ・・・。
「かっこいい~!」と見とれる私を除いて、プールの中のおば様たちは騒然としていた。

「ちょっと!ちょっと!誰?あの水着はただ者じゃないわよ!!それにあのストレッチ!初心者じゃないわね!ね!ね?」。

ちょっとした猫広場に突然現れた若いメス猫をかなり警戒しながら遠巻きに観察する先輩猫達・・状態だった。

周りの熱い(いろんな意味で)視線をものともせず、その人はいつも淡々と泳いで帰っていく。
私はいつしか勝手に彼女を「バービーちゃん」と呼ぶようになった。
かなりな近視の私は、殆ど人の見分けがつかないような状態なのだが、度付きゴーグルのお陰でクロールで向こう側のプールサイドまで泳ぎ着く時、水中に立つその長く美しい足で彼女を確認する。

間もなく私は彼女と親しくなったが、年齢は私よりも20ほども若いと思っていたので、かなりお姉さん口調だった。

時々、スーパーで居合わせることがあったが、いつも年下?「カレ氏」と一緒で、寄り添って買い物をする彼女に声を掛けたりしたことはない。

或る日、ジャグジーでふたりっきりになった。
スーパーでよく見かける、と言うと「声を掛けてくださればいいのに」と言うのでいつもカレと一緒だから・・・と言えば「息子ですよ、24歳」と笑って言う。

思わずジャグジーで溺れかけた。
「そんな馬鹿な・・・一体彼女、何歳?」心の中を見透かしたように「私、もう50ですよ」とこともなげに言う。
こんな50歳、あり得ない!宇宙人か?その美しい姿態のどこを取っても、20代にしか見えない。しかも僅かながら、年上・・・・。いきなり丁寧語になってしまって、また笑われた。

シングルのドクターで、建築士でもあり、落ち着いた物腰は知的で、時々哲学者のような台詞を吐く。今、一番気になる女性である。

彼女にはいつも驚かされっぱなし。数日前、新聞やウェブニュースで「バービーちゃん生誕50周年」を伝えていた。もしかして、本物のバービーちゃんかも・・・。

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2009年3月 7日 (土)

生き甲斐

先週、姉と待ち合わせて母に会いに行った。

兄たちは生憎仕事で来れなかった。

父が居た頃、実家の冷蔵庫には、豪華ではないが、素性のいい食材が少しづつ詰まっていた。乾物などの保存食は大方、母の手に依る品だった。
食が細い上に気まぐれな父が、少しでも食旨を動かしてくれるなら、いつでも大抵のものは出来るように心を砕いていたのだろう。

父が逝ってから、冷蔵庫の中身は一変した。
一人暮らしの身にはどう見ても大きすぎる冷蔵庫の中はガランとしていて「これで、一体何ができるんだろう?」という有様だ。
ひとり分の仕度をする気力が失せたのだ・・・よく分かる気がする。身近に自分を頼りにしてくれる者のあることは、ある意味幸福なことなのだ。手のかかる父は母の拠りどころであったのだろう。

加えて、今年になってスクーターの免許を返上し、電動車椅子を使っている。これまで5分で行けた場所まで20分もかかる、と至って不満げである。
気候のいい頃ならよいのだろうが、時速数キロしか出ないため、途中で雨でも降り出したら寒くて凍えるのだという。
85歳という年齢から考えれば、免許を更新する方が無謀だとは思うが、母にとって、思い立ったらすぐに行動できる「自立」のための大切な杖だったのだろう。
ストレスが高じてか、帯状疱疹まで患い、めっきり元気をなくしている。

そんな母の冷蔵庫を開けてみて驚いた。
翡翠色に茹で上げたツワぶきが三つの袋に小分けされ、鎮座している。
暖冬とは言え、まだツワぶきの季節には早すぎる。
・・・よく見れば、その殆どは未だ小さく、直径3ミリに満たないものまで綺麗に剥き上げている。

訊けば、娘や孫たちが好きだから・・・と言う。姉も私も大好物だ。
訪ねてくると聞いて、近くの野に摘みに行き、三日がかりで剥き上げ、茹でておいてくれたのだそうだ。
兄が釣っておいてくれたアラカブやメバルなども綺麗に拵えてある。

家に帰って、二軒分のツワぶきを大きな炒め鍋に入れてみて驚いた。小分けされた袋はそんなに大きくは感じなかったが、鍋にあけた二袋分のツワぶきの量は圧巻だった。

こんなにたくさんのツワぶきを母は一人で剥いてくれたのだ。姉の分まで入れると本当にすごい量だ。

孫たちがまだ小さい頃、母のツワぶきをとても喜んで食べた。
まだお箸も使えない下の子まで、両手で掴んで夢中で食べるのを、皆笑って眺めていたものだ。

お金さえ払えばなんでも簡単に手に入る時代ではあるが、母の剥いてくれるツワぶきや釣りたての小魚の味は、あの子達の中でかけがえの無い記憶となって、母の面影の隣に居続けることだろう。

「お母さんの生き甲斐よ」。
母の口から久々に聞いた言葉だった。

「人はパンのみにて生きるに非ず」。書きの種さんも、時々いいこと言う。

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2009年3月 4日 (水)

こぶとりばあさんの“やっとこさ”な近況

花粉症と確定申告の季節です。早い話、憂鬱真っ只中。

昔、真面目に生きてた頃は初日、若しくは二日目には終わっていました。
年を重ねるごとにずるずると先延ばしになり・・・去年はギリギリでした。

「同じ轍は踏まない」がモットーなので、今年は張り切って、たった今仕上げました。
・・・・・はぁ・・あんなに頑張ったのに・・・結構売り上げてるのに、ちっとも儲かってないんだ。

エンゲル係数から見て、大方の察しはついてたけど、うちってかなりビンボー!と。

まあ・・・かなり凹んで、やっとこさ書類を仕上げた次第です。

「食べていくのがやっと・・」・・・なんて言おうものなら「一体どんだけ食べてるの!」なんてツッコミ・・・シャレになりませんから・・・。

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